NAY-70：美容師向け　シンプル7インチ

「少年が手にした鋏は、大人になって相棒になった」
第一章　はじめての「武器」
あの頃、僕はまだ小さかった。
近所の駄菓子屋の片隅で、銀色に光る小さなおもちゃの剣を見つけた。
派手な装飾もなく、ただシンプルな一本の剣。
けれど、なぜか心を奪われた。

それを握ると、妙にしっくりきた。
友達がプラスチックのカラフルな剣を振り回して遊ぶ中、
僕の剣はただ静かに、けれど確かな存在感を放っていた。

子供の頃は気づかなかった。
「自分の武器は、シンプルでいい」
その考え方が、ずっと変わらずに自分の中にあったことに。

第二章　選び取るということ
美容師になってから、何年も経ったある日。
たくさんのハサミが並ぶ店に足を踏み入れた。
カーブのついたもの、細身のもの、ゴールドに輝くもの……
どれも個性があり、魅力的に見えた。

けれど、僕の目が止まったのは、シンプルな一本だった。

7インチ。
オフセットハンドルの、まっすぐな刃。
派手さはない。ただ、堂々としている。
鋼はA.Cobalt。堅いのに、優しく切れる感触があるという。
「ザバッ」と、髪が心地よく落ちるイメージが湧いた。

「刈り上げをしないなら、必要ないかもしれませんよ」
そう店員は言った。

けれど、僕は答えた。
「メンズが多いので、きっとこいつが必要になると思う」

それは、まるで少年の頃の自分が、おもちゃの剣を選び取った時のようだった。

第三章　相棒になる日
それから数年が経った。

手にしたハサミは、何度も研ぎに出しながら、僕とともに歩んできた。
初めてこの鋏を握った日のことを、今でも覚えている。

「ザバッ」

鋏を閉じた瞬間の、確かな感触。
シンプルな見た目とは裏腹に、その刃は力強く、迷いなく髪を断ち切った。

メンズの刈り上げをするとき、
髪を逃さず、しっかりと捉え、なめらかに切れる。
まるで、長年付き合ってきた友人のように、僕の手の動きを理解してくれる。

そしてある日、ふと思った。

「この鋏がないと、俺の仕事は完成しない」

少年の頃、初めて手にした剣は、
いつの間にか、大人になった僕の「相棒」に変わっていた。

今、鏡の前で、お客様の髪に鋏を入れる。
そのたびに、確信する。

シンプルでいい。
自分にとって、本当に必要なものは、昔から決まっていたのかもしれない。

【名称】NAY-70
【大きさ】7インチ　
【鋼材】A.Cobalt
【刃の形状】はまぐり刃
【刃線】直刃
【ネジ】埋め込みネジ
【ハンドル】オフセット
【重量】61.9g±2g